木村蓮月ギャラリー 1
『ハイネの詩』
陽はまだ美しく輝いているが
やがて沈むのだ
神よ、いつまでも我が身に
若さを残してくれとは願いませんが
青春の美徳の数々
無私の憤り
無私の涙は
忘れさせないで下さい
若者を愛し
老いてなお
その遊びと冒険に
加わる老人にならせて下さい
聲が震えていてもかまいません
自分の吐く言葉が
生き生きさえしていれば
『蒼天湧雲』
蒼天に湧く雲のように
本来、私たちのいのちは
雨によって、風によって、
大地によって、
老病死によって、
生かされているのではないか
それらによって育まれ
教えられ、支えられ、
立たされているのではないか
この宇宙の
静かな祈りのなかで―
『真 実』
思いかせえば、人生は辛く悲しいことばかりだったように思われます。しかし、老いのなかでそれはかえってほのぼのとした、なんとも温かな思い出に変わっていることを、自然の木々花々が教えてくれます。
久我美術館から皿山公園までの1キロの山道は「ささやきの小径」というおしゃれな名前がついています。いのししさん、たぬきさんにも出会った小径、一緒にささやきあう気分で書いてみました。
『一 坐』
日々いただく坐禅。「一坐」の書は、生活のなかに凛とした空気をつくり、一日の生活全体を律してくれます。
『両 忘』
比べないということはなんと難しいことでしょうか。自分自身の存在を絶対無比のものとして揺るがず受け止めていくことの大切さ、難しさを突き付けてくれる禅語です。
『渓聲山色』
書にも禅の教えにも通達した、中国北宋時代の政治家、詩人、書家であった蘇軾の詩。自然は常に私たちにいのちの真実のあり方を説いている。気づきなさいとという事でしょうか。華やかな額のイメージに合わせた書風にしてみました。
『到達できないことは―』
私の師、禅僧、櫛谷宗則師の言葉を書いてみました。結果ばかり求めて生きる私に大切なのは結果じゃない、今、今、向かいあっている今こそ意味ある自分のいのち、その深さに生きるのだ、見失ってはいけないと優しく問いかけて下さっています。