私の力ではない、限りない恵みによって、私はこの世に生まれてきた。いま足も動く、手も動く、頭も働く、日が昇る――この限りない恵みのなかに生きている。 そんな人生を小さな人間的思いで、アーだコーだとかき回すのをやめる。そういう思いの及ばないいのちが私なのだ。 この光はどんな苦しみ悲しみのなかでも、私を離れない。自身の内なるこの限りない光に透徹されるとき、ただ、今のこの身をすっと頂いていく力が生まれる。自分がこの自分であることによって救われていく。 坐禅はその恵みのいきつけない深さです。 櫛谷宗則
櫛谷宗則 師のご紹介
昭和23年、新潟五泉市の生まれ。19歳の時、内山興正老師について出家得度、以来安泰寺道場にて十年間安居し、老師隠居後は近くの耕雲庵に入り縁ある人と坐る。老師遷化のあと新潟に帰り、地元や大阪、福岡で坐禅会を続けている。
◎編著「禅に聞け」「生きる力としてのZen」「内山興正老師いのちの問答」「禅からのアドバイス」(大法輪閣)「共に育つ」(耕雲庵)